農村部の収入も上昇はつづいている。
しかし、社会的格差もまた、拡大をつづけている。
中国社会科学院がこの実態を、強い問題意識をもって見つめていることが重要なのだろう。
これを「自己責任」に還元しないこの国で、どのような対策がとられていくか。
中国の格差「3.3倍」に拡大 「都市と農村の収入」シンクタンクが07年予測(西日本新聞、5月4日)
【北京3日傍示文昭】中国政府のシンクタンクである中国社会科学院は3日までに、2007年版「中国農村経済の情勢分析と予測」を発表。今年の都市部と農村部の収入格差は約3.3倍となり、昨年の3.28倍からさらに拡大するとの見通しを示した。また、収入格差以上に医療体制など社会制度整備の立ち遅れが目立ち、農村部の社会保障制度は都市部の約25%の低水準にあることを明らかにした。
社会科学院によると、昨年の農村部の収入は前年比7%増と、初めて7%を突破。今年も同6%増になると予測する一方、経済が好調な都市部の収入の伸びが上回ることから、小幅ながら格差が広がると分析している。
また、出稼ぎ農民ら約3万人を対象としたサンプル調査を基に、都市部と農村部の格差を分析した結果、出稼ぎ農民の生活水準は都市住民の53%にとどまっていることが判明。項目別では、医療が都市住民の約60%、住居は約50%、社会保障は約25%だった。
胡錦濤指導部は「和諧(わかい)(調和)社会」の建設を目標に掲げ、貧富の格差是正を目指しているが、同科学院は「農民の生活レベルは都市部より少なくとも7年は遅れている」とも指摘。歯止めをかけるのは容易ではないと強調している。
中国、仕送り金など小口決済活発化・日銀が調査(日経新聞、5月2日)
日銀は中国の資金決済システムに関するリポートをまとめた。農村からの出稼ぎによる故郷への仕送り金が年間数千億元(数兆円)にのぼると指摘。国内旅行も急増しており、「小口の資金決済が活発化している」とした。
リポートによると、都市部への出稼ぎ農民は2006年8月現在で約1億2000万人。遠隔地間の小口決済の仕組みが十分に整っていないため、都市部で稼いだお金を現金のまま農村に持ち運ぶ農民が少なくないとしている。
中国では出稼ぎ農民の待遇改善が緊急の課題になっている。リポートではこうした小口決済を円滑に処理するため、体制整備を急ぐ必要があるとの認識を示した。
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